2017年3月6日 更新

実用化間近!?知っておきたい歯の再生医療最新情報

歯を失うと、ものが噛めなくなるだけでなく、見た目にもコンプレックスを抱えやすくなり、言葉の発音も悪くなるなど、良いことが一つもありません。現在では入れ歯やインプラントで失われた歯をカバーしていますが、そう遠くない将来、歯の細胞を使って失われた歯や様々な臓器を再生することができるようになるかもしれないと大きな期待が集まっています。ここでは、歯を使った再生医療の最新情報を簡単にお伝えします。

1,436 view お気に入り 0

再生医療に欠かせない幹細胞

 (184)

2017年現在、人間の歯を再生させる技術はまだ確立していません。
歯周病などで歯を失った場合は入れ歯やインプラントなどでその機能を補うことが一般的です。
しかし、そう遠くない将来には歯を再び生やすことができるようになると言われています。

一般に、再生医療を行う際は「幹細胞」と呼ばれる細胞を使います。
幹細胞は他の細胞とは大きく異なる細胞で、分裂して増える時に自分のコピーを作り出すという性質があります。
また、幹細胞は増殖しながら様々な種類の細胞に成長することが可能な万能細胞なのです。

ips細胞やES細胞は人工的に作られた幹細胞ですが、幹細胞は私たちの体内にも備わっています。
血液や脂肪、骨髄などに幹細胞は存在していますが、歯にも幹細胞が存在していることが判明し、大きな期待が寄せられているのです。

私たちの体の中にある幹細胞は、再生医療に利用しても拒絶反応が起きにくく、がん化しにくいと考えられています。
そのため、再生医療への応用が期待されているのです。
最近では、親知らずの歯髄から得られた細胞を用いる方が、iPS細胞を効率良く作ることができることが明らかとなりました。
さらに、歯髄細胞から作られたiPS細胞は、日本人の移植に適した型を20%の割合で持つことが分かり、同様のiPS細胞が50株あれば90%の日本人をカバーできることが試算されています。そのため、移植に適したiPS細胞を保存・管理するためのiPS細胞バンクの設立が望まれています。

再生医療に大活躍!?歯の幹細胞

白人女性 顔パーツ口元|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK (188)

歯の幹細胞は、やむをえず抜いた歯から採取することができると言われています。
親知らずや、歯列矯正のために抜いた永久歯だけでなく、自然に抜け落ちた乳歯などからも採取が可能です。

歯の幹細胞には大きく5つの種類があります。
(1)歯髄幹細胞
完成歯の中にある歯の神経(歯髄)から得られる幹細胞。

(2)歯根膜幹細胞
完成歯の歯根の周りに付着している歯根膜から得られる幹細胞。

(3)歯小のう幹細胞
未完成歯の周りに付着している軟組織から得られる幹細胞。

(4)歯乳頭幹細胞
未完成歯の形成途上の歯根先端に見られる歯髄から得られる幹細胞。

(5)乳歯幹細胞
幼児の脱落した乳歯の歯髄から得られる幹細胞。
これらの幹細胞は、骨髄から採取できる幹細胞に比べて活発に増殖し、様々な細胞に変化することが研究でわかってきました。
また、ips細胞も歯の神経から採取した細胞を使ったほうが、より効率的に作ることできると判明しました。
現在、歯の再生医療はイヌの歯を再生できるようになっています。
神経を抜いた歯の中に、歯の神経から採取した細胞を移植すると、神経や血管、象牙質の再生が確認されているのです。
将来的には、自分の体の中で幹細胞を培養し、歯を再生できるようになるかもしれません。
また、体の外で幹細胞を培養して歯を作って移植することで、歯を再生させる技術も実現可能だと言われています。
それだけでなく、インプラントの土台に自分の細胞で作った歯を接続する「再生歯インプラント」という方法も考案されています。
歯の幹細胞は、採取するのに特別な痛みを伴いません。
捨てられてしまう「抜いた歯」から採取できるからです。
今後ますます再生医療の技術は進んでいくと考えられています。

全身疾患の治療も期待できる!

 (193)

歯の幹細胞を使った再生医療が役に立つのは、歯の再生だけではないと言われています。
将来的には全身疾患もまた、歯の幹細胞を使って治療が可能になるでしょう。

筋ジストロフィーや心筋梗塞、脊髄損傷などの治療も夢ではないと考えられています。
これまでは骨髄や脂肪から幹細胞を採取することが一般的でしたが、将来は歯から幹細胞を採取するのが主流になるかもしれません。

大きな可能性が秘められている歯の幹細胞と再生医療

歯から採取できる幹細胞は、再生医療において大きな可能性を秘めています。
今後ますます再生医療技術が発達すれば、そう遠くない将来、歯だけでなく歯から採取した幹細胞を使って全身の様々な疾患を治療できるようになるかもしれません。

関連する記事 こんな記事も人気です♪

失った歯を取り戻したい!「歯の再生治療」について解説します

失った歯を取り戻したい!「歯の再生治療」について解説します

私たちは、歯を使ってものを噛み、食事をします。また、歯は言葉の発音にも重要な役割を果たしている無くてはならない器官です。しかし、歯周病などの疾患や何らかの理由で歯を失ってしまう人もいます。そのまま放置しておけば、噛む機能や言葉の発音に影響が出てくるので、なんとかしたいと考える人は多いでしょう。ここでは、歯を再び取り戻す「歯の再生治療」について簡単にお話したいと思います。
菜々緒 | 364 view

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

菜々緒 菜々緒