受け口とはどんな状態?原因は?
受け口とは下の歯が上の歯より前に出ている噛み合わせのことで、下顎前突、反対咬合ともいいます。発音しづらい、うまく噛みきれないといった機能的な問題はもちろん、あごがしゃくれてくるなど見た目にも影響を与えるので、受け口はコンプレックスになりやすいもの。原因は、遺伝的なものと、歯の生え方や口呼吸などの癖よる後天的なものとがあります。
受け口の原因には、生まれながらにお持ちの先天的・遺伝的要因と、成長する過程において獲得する後天的・環境的要因があります。
・先天的・遺伝的要因
ご家族・親戚の方に受け口の方が多いなど遺伝的な要因がある方
上のあごの成長が悪くなりやすい、下のあごが大きくなりやすい病気を持って生まれた方
など
・後天的・環境的要因
舌、頬、唇等のあごや歯の周りの組織の形態、機能が異常な方
乳歯、永久歯の歯の生え方が何らかの要因で悪かった方
唇、指、爪を噛んだり吸ったりした結果の方
など
子供の矯正方法1.マウスピース
前歯がまだ乳歯や、永久歯への生え変わりが始まる頃に行う方法としては、ムーシールドやT4Kといったマウスピースを使う方法があります。ブラケットなどを使った矯正とは違い、痛みもなく、日中は外せるので見た目を気にしなくていいのがメリット。このマウスピースをはめて就寝をすることで舌の位置を正し、受け口を矯正していきます。
子供の矯正方法2.上顎拡大装置
マウスピースタイプの矯正は基本的に前歯が永久歯になるまでに使う方法なので、前歯が永久歯に生え変わるタイミングで受け口になってしまったら、上顎を広げる矯正方法になります。上の顎の骨は真ん中につなぎ目がありますが、20歳ごろまでは癒着していないので装置で広げることが可能です。
取り外しができるプレート(床)により、歯の移動と、あごの骨の拡大を行う矯正治療です。取り外しが簡単にでき、食事中は外します。
この装置では、歯を正しい位置に動かすとともに、歯の土台そのものを正しい大きさに拡大します。装置はスクリューが装着されていて、ネジを回転してスクリューを拡げて歯並びの幅を広げたり歯を動かしたりします。
大人の矯正方法1.ブラケット
成長が終わってから受け口を矯正する場合、歯を動かすことで改善できそうならブラケットを使った一般的な矯正方法で歯を動かし、受け口を改善していきます。軽度から中程度の場合は歯を抜かずに矯正できますが、中程度から重度で歯を動かすスペースが確保できない場合は、歯を抜く必要が出てくることもあります。
基本的には「上の前歯を前に持ってくる」か、「下の前歯を後ろにひっこめる」ことになります。普通は両方を合わせて治療をします。
1.受け口の程度が中程度から重度の場合
この場合、前に出てしまっている下あごの前歯を引っこめる訳ですが、どうやって引っこめるかというと、小臼歯(前歯と奥歯の中間の歯)を抜いて、そこに出来たスペースを利用して前歯を引っこめていきます。小臼歯を抜くと、そこには5mmくらいのスペースができますが、そこにできた5mmくらいのスペースに前歯を下げて持って行くわけです。
大人の矯正方法2.外科手術
歯の矯正をしても、骨格までは治すことはできません。重度の受け口でしゃくれが出てしまい、これも治したいと思う場合は、顎の骨そのものを外科手術で移動させる必要があります。顎の位置を正しく戻せるので、噛み合わせも正しく戻すことができます。
成長期が終了した時点で反対咬合がかなり強い場合は外科矯正にて治療を行います。外科矯正とは顎自体を外科的に前後ろに移動させ、矯正治療を行うことです。噛み合わせから顔の形まで全体的に治していきます。期間は3〜4年程度で、保険診療3割負担の方で60万円から80万円程度です。
骨格のズレが大きい場合には、歯を本来の傾斜に改善した後、上アゴと下アゴのズレを手術にて修正いたします。この場合、アゴの位置も改善されるため、噛みあわせが良くなるだけではなく、顔の形も自然な美しい形となります。(アゴが正常に発育した本来のあなたの顔になります。)
まとめ
子供の受け口は、3歳過ぎから治療が可能です。「前歯がまだ乳歯」「前歯は永久歯だけど骨は成長期」「骨の成長が終わっている」という3段階で治療方法が変化してきますが、大人になってから受け口の矯正は可能です。受け口が気になるようなら、矯正歯科で相談してみましょう。