なぜ治療跡の銀歯に大きな虫歯ができるの?
虫歯治療は、銀歯を詰めたところで終わりではなく、そこから虫歯の再発(二次カリエス)が起きることは珍しくありません。多くの原因は銀歯そのものの特性のせいもありますが、口内環境が虫歯ができたときと同じだからという原因も大きいのです。
セメントが溶けてすき間ができるせい
歯と銀歯の間はセメントで合着していますが、これは完全ではなく隙間があり、更にセメントは少しずつ溶けていってしまいます。
治療によって銀歯などの被せ物をする治療では、削った歯の型を取り、そこに合わせて作った修復物を歯科用セメントで接着します。この修復物は初めのうちはぴったりと密着していますが、日々「噛む」ことで強い衝撃がさまざまな方向から加わります。(人間の噛む力は体重と同じ程度と言われ、1日に噛む回数は600回程度だと言われています)
日々の衝撃に耐え切れず、接着していたセメントが少しずつ崩れたり剥がれたりして隙間ができてきます。その隙間は虫歯菌の格好の棲家となり銀歯などの下に入り込んでいくのです。
このために、銀歯と歯の間で虫歯が発生してしまいます。
虫歯ができても気づけない
銀歯の下の虫歯が、かなり大きくなるまで発見しにくいのは、初期の虫歯が銀歯に隠れて発見しにくいせいです。痛みが出るまで気づかないことも多いため、銀歯の下の虫歯は大きくなってしまいます。
虫歯ができると痛みが出る、と思われていることが多いですが、実際にはなかなか痛みが出ないこともあり、気づかずに放置されて虫歯が進行し、歯自体が残せなくなってしまう場合もあります。
軽い虫歯では銀歯が外れにくい
虫歯になると歯が溶けて削れますが、少し歯が削れたくらいでは銀歯は外れず、虫歯のせいで銀歯が外れた時には虫歯はとても大きくなっています。なぜなら、銀歯自体が歯に引っかかるような形で外れにくい形に作られているからです。
銀歯と歯には段差があるせいで虫歯ができる
歯と銀歯の間には歯垢がたまりやすく、落としにくいわずかな段差があります。
銀歯が入っている歯は以前虫歯になった部分です。銀歯と歯の境目には段差があり、歯垢が残りやすく虫歯になりやすい部分です。以前と同じ口の中の環境であれば、歯と金属の隙間から虫歯になり、金属の下に虫歯が広がります。
虫歯を作らないためには歯磨きの見直しから
虫歯ができた場所は、歯垢など歯の汚れをもともと取るのが下手だった場所なので、虫歯処置をした後も歯磨きの方法を変えなければ、再び歯垢が溜まって虫歯になります。
歯磨きも、歯ブラシだけでは6割ほどしか磨けないので、虫歯になりやすい場所に合わせて、次の3つの歯のお掃除グッズをプラスしましょう。
歯と歯の間の歯垢は「デンタルフロス(糸ようじ)」で除去しましょう。糸だけのものより、持ち手がついたタイプのほうが使いやすいのでおすすめです。
歯と歯肉のすき間は「歯間ブラシ」でブラッシング。極細から極太まで各種サイズがあるので、歯のすき間に合わせて最適なものを選びましょう。
歯ブラシが届きにくい奥歯の溝や歯間は、ブラシ部分が小さく、毛先も細い「スポットブラシ」で磨きましょう。
虫歯になりにくい素材「セラミック」を詰める
保険内治療で使われる詰め物の銀歯は、表面に傷がつきやすく汚れもたまりやすいために虫歯になりやすいですが、自費治療よりもやや高額となるセラミックは虫歯になりにくいです。
セラミックは陶器と同じ材質で、表面がツルツルとしており汚れがつきにくい材料です。
それが結果的に虫歯の再発を少なくしてくれます。
一番の回避方法は歯医者で定期的に歯科健診を受けること
銀歯の場合、どんなに頑張っても虫歯が再発するリスクは高いのですが、それを大きな虫歯にせずに小さい虫歯にとどめたり、予防効果を高くするには、やはり定期的な歯科検診が一番です。
歯科検診に来て頂きたい本当の理由は、
自分では磨けないリスク部位をフォロー=虫歯や歯周病になる確率を下げる。予防する。
自分では気づかない初期の歯周病や小さい虫歯の早期発見・早期治療=歯や歯茎へのダメージを最小限にする。
どんなにしっかりと歯磨きしていたとしても、残ってしまう汚れはあるので、歯医者でクリーニングをして、フッ化物の塗布で虫歯予防、検診で虫歯の早期発見をすることで虫歯の再発や大きな虫歯を回避できるのです。定期的な歯科検診を受けられるといいですね。